気になる異性がいたらまずは一緒に食事を。「何が食べたい? 」と聞かれたら、「何でもいい」と相手に選択権を委ねるのではなく、せめて苦手なものや食べたいものは伝えたほうがいい。7歳年上の自営業の男性と見合いをした歩さん(29歳)。相手は写真より実物のほうが素敵な人だったし、歩さんの希望通りの年収もある。紹介者同席の顔合わせの後は二人で水族館に行き会話も弾んだ。その後、男性から夕食に誘われ応じたとき「お寿司とステーキ? どちらがいい?」と聞かれ、歩さんのテンションは一気に下がった。

「だって、お寿司とかステーキって、おじさんがホステスさんと食事に行く時の定番メニューじゃないですか!」

お寿司とステーキはホステスさんと一緒に食べる食事なのか?
銀座のバーでホステス歴一年の菜々美さんに聞くと、同伴やアフターでお客様と食事に行く時は確かにお寿司が多いそうだ。念のため、同伴というのはホステスがお客様とお食事などをしてからお店に入ることで、アフターは店が終わってからの食事で、無論食事代はお客様持ちだ。

「出勤前に天ぷらとか焼き肉を食べると髪や服に臭いがつくから、同伴のときはお寿司が多いです。普段食べられないような贅沢なものは食べられますが、これも営業活動というか、仕事の一環です」
お客様と一緒のときはいつも、衣装や髪形、化粧も完ぺきにしているそうだ。

話が逸れたが、歩さんはお寿司かステーキかと聞く前に、自分に何が食べたいかを聞いてほしかった。何も聞かずに女ならお寿司かステーキをご馳走すれば喜ぶだろうという相手の高慢さにがっかりしたそうだ。とはいえお寿司はご馳走になった歩さん、自分のお金では食べられないウニやいくらをバンバン注文し、翌日、相手の男性から自分とは経済感覚が違いすぎるからと紹介者を通じてお断りの電話がきたそうだ。

食事を共にすることはお互いを知る大切な最初の一歩となる。
では初デートの食事、独女たちはどんなメニューなら嬉しいのだろう?

「パスタがいいです」というのは那美さん(27歳)。
その理由は「フランス料理や日本料理に比べて値段が安いし、中華はニンニクが気になりますから、パスタなら気楽に食べられるし」とのこと。

「パスタとかピザがいいかな。いくらご馳走してくれても好きな人にはお金を使わせたくないし、贅沢な女だと思われたくないから」という加奈子さん(29歳)だが、以前、仕事関係で知り合った会社社長にしゃぶしゃぶをご馳走になったことがある。そのあと口説かれて逃げるのが大変だったそうだ。ただより高いものはないと学習したとのこと。

「初デートの食事は話題のお店がいいです。並んでいるうちに期待感も高まるし、食事についての話もできるし」という華さん(30歳)は、彼との初デートにテレビで話題の店に行ったところ、店の外には何十人も並んでいて、2時間も並んで待って入ったあげくに美味しくない。その料理や店の雰囲気、話題にしたマスコミにまで怒りが込みあげ、二人で怒りを共有できたことで盛り上がった。次回は外さない店に行こうと約束ができて、かれこれ半年、今も食べ歩きデートを繰り返しているそうだ。

初デートの食事、ご馳走してもらえるならお寿司とかステーキという声は独女たちからは聞こえなかったが、デートではなく、仕事関係とか恋愛感情のない相手からご馳走になるならカウンターで食べるお寿司が嬉しいという声はあった。
 
食事を共にすることはお互いを知る大切な最初の一歩となる。

既女の好美さん(50歳)が会社の同僚だったご主人と初めて一緒に食事をしたのは、会社の忘年会。同じテーブルに座ったのだが、仲居さんが材料を運んできて後は銘々でどうぞという鍋だった。鍋料理は材料を入れる順番やタイミング、あく取りをしたり、みんなにに取り分ける作業など、一緒に食べる人たちへの気遣いが要求される。
「主人は鍋奉行だったんです。仕切るだけでなく、みんなに好きなもの、嫌いなものを聞いたり、ものすごく気配りができる人で、職場では全く気付かなかったのでびっくりしました」
 
好美さんは3人姉妹の長女で、家庭での鍋料理のときは母親の補佐役。その経験が生かされたのか、鍋奉行のご主人の補佐をするタイミングがぴったりで、その夜以来、2人は互いを意識するようになった。
「鍋がとりもつ縁です」と好美さん。

食事が2人の未来を制するといっても他言ではない気がしてきた。

気になる異性がいたら、まずは一緒に食事をしてみる。「何が食べたい? 」と聞かれたら、「何でもいい」と相手に選択権を委ねるのではなく、せめて苦手なものや食べたいものは伝えたほうがいい。そして自分の好みばかりを主張するのではなく、「昨日は何を食べたの?」と聞くなど、今、相手が何を食べたいのか気遣うことも忘れずにしたい。

ところで経済力を結婚相手の第一条件にしていた歩さんだが、「経済力よりは思いやりが大切かも」と考えを改めつつあるそうだ。

この記事の執筆者

佐枝せつこ

佐枝せつこ

テレビ局勤務を経て小説を書き始める。著書に第24回横溝正史ミステリー大賞最終候補作「ベッド・イズ・バッド」「家内安全」「光冠」ほか。2007年より「独女通信」の執筆陣に参加。「婦人公論」に母親たちの極寒婚活模様が掲載。婚活、介護、婚外、恋愛など女性の様々な生き方をテーマに執筆活動を展開中。
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