“男はズルいロマンチスト、女は罪なリアリスト”

なんて巧いこと言うのでしょう。男と女の性質を一言で表現するのなら、これ以上の言葉はないのでは?

第18回東京国際映画祭コンペティション部門にて「女たちとの会話」の題で上映され、審査員特別賞と最優秀主演女優賞(ヘレナ・ボトム=カーター)を受賞した『カンバセーションズ』。

10年前に離婚した、元夫の妹の結婚式に、女はなぜ現れたのか?
“好奇心”?“来るべきじゃなかった”と知るために?
それとも“マイレージでタダ旅行”をしたかっただけなのか? 
その答えは、ラストカットできっと分かります。

19歳の時に出会った元夫は、情熱的で、ロマンチックで、少年のように無邪気で、彼女にとって青春そのもの。毎日が楽しくて、刺激的で、セックスに明け暮れたあの頃…。幸せだった。けれども惨めだった。愛せば愛すほど傷つき、彼女は疲れてしまった。そして姿を消した。

男は女を失って初めて気付く。自分がどれだけ彼女を傷つけていたのか、彼女がどれだけ大切だったのか。追われると逃げたくなるのに、逃げられると追いたくなる。彼女が消えて10年という時が経っても、男は女を忘れられずにいた。

子供の頃の“初恋の相手”以上に、“初めて愛を知った相手”は、誰にとっても特別なはず。少なくとも女にとっては。19歳から38歳になった女は、同じ男を前にどのように感じるのか?少女の頃の淡い気持ちを思い出しながらも、大人の女になった彼女の、現実的な発言、行動、全てが、あまりにも赤裸々で、共感せずにはいられないでしょう。

そして、最も印象に残っているのは、このセリフ。

「あなたとは全く同じ年なのに、あなたは少年で、私だけが遥かに年を取っているように感じるわ」

この感覚、女性なら、誰もが感じたことがあるのでは?“子供のように自由で、無邪気で、一緒にいてドキドキ出来る”、そういう男に、女は弱い。彼女もそんな彼に惹かれ、今でももちろんロマンチックな気持ちを持っている。けれど、女が男に求めるものは、年と共に変わっていくのかもしれない。
追い求める“恋”でなく、居場所を与えてくれる“愛”へと……。

ラストシーンで、タクシー運転手のある問いに答える彼女のセリフ「No, no more」。この一言が、切ない…!!女は男よりずっと強い。女には現実と未来しかないのだ。生まれ変わっても、“罪なリアリスト”である、女に生まれたい。そんな風に思わせてくれる、“大人の女”のための一本!物思いに耽りたい一人の夜に、オススメです!!

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この記事の執筆者

安部沙織

安部沙織

ニューヨークで映画制作を学び、30本以上の映画製作に参加。帰国後、映画『R246STORY[CLUB246](2008)』で脚本家デビュー。国際的に活躍出来る映画人を目指し、ハリウッドで活躍する田中靖彦氏(脚本分析家)に師事。脚本家・脚本分析家として活動中。オフィシャルサイトは→コチラ