京都では帰り際に家人から、「まあ、なんにもおへんのどすけど、ちょっとお茶漬けでも・・」と誘われ、「では遠慮なく頂きます」と間に受けては恥をかくらしい。お茶漬けでもと誘うのは社交辞令で、内心は早く帰ってくれとの意味があるという。知る人ぞ知る、京都では社交辞令を真に受けるのは非常識というたとえ話だが、社交辞令とは決して本心からの言葉ではない。

ところが最近は深く考えずに軽い気持ちで相手を誉める社交辞令女子が増えているそうだ。
トレンダーズ株式会社がNHK『祝女』制作班と共同で、20~39歳の女性107名に対して、実施した「現代女子の思考に関する意識調査」(調査期間2010年9月9日~13日) によると、2人に1人が友達に気遣って、思ってもいないことを言ってしまう、「社交辞令女子」(54.2%)に該当した結果となった。

『似合っていない洋服やカバンを絶対に褒めてしまう。(38歳)』
『あまりおいしくない料理に対して、ついつい「おいしいね。また作ってね」と笑顔で言ってしまう。(35歳)』
『彼の自慢をする友達に、「素敵な人だね」と思ってもいないことを口にしてしまった。(36歳)』など、思い当たる独女も多いと思う。

なぜ彼女たちは思ってもいないことを口にするのだろう? 周りの独女に聞いてみると、
・本当のことを言って怒らせたくないから。
・やんわり断るときには不可欠です。
・「可愛くなったね」とか「痩せたんじゃない?」は、社交辞令と分かっていても、相手が喜ぶから。
・大人の礼儀なんじゃないですか?

確かに社交辞令は、つきあいをうまく進めるための儀礼的なほめ言葉やあいさつだが、間に受けた相手が思いもかけない言動にでることもある。
休日にプライベートな食事会をした時のことなんですけどと、カナさん(28歳)。
「来るはずのないと思っていた苦手な女性が参加して隣に座ったんです。話すこともないから、彼女が持っていた民族調のちょっと変わったバッグを褒めたんです。『センスがいい』を連発していたら、翌週、バッグが自宅に送られてきたんです。正直自分の好みではなかったし、迷惑なプレゼントだと憂鬱な気持で開けたら、『あなたが気にいったみたいだから買ってきました』と書かれたカードとしっかり振り込み用紙も同封されていました」
2万円の出費は痛かったとカナさん。以来、社交辞令でも決して人の持ち物は褒めないようにしているそうだ。

「仕事関係の人で痛いほど若づくりをしている年上の女性がいるんです。会う度に『そのお洋服素敵ですね』とか、『いつも若々しくて素敵ですね』とか社交辞令で褒めていたんです。彼女は最近ブログを初めて、自分の写真も載せているんですけど、『今日も○○ちゃんにこんなふうに褒められました』と、写真の下に私の実名がフルネームで書かれていてびっくり。ブログをみた人たちから私は、社交辞令女子どころか、調子のいい女とか、大嘘つき女子とか言われて迷惑しています」とヨウコさん(38歳)

「コンパで知り合った男性なんですけど、食事に誘われて断るのに、一応社交辞令で『また誘って下さい』と言ったんです。それを真に受けてまた誘ってくるから、その度に『また』を繰り返しているんですけど、察しが悪いというか、『また』にはあなたとは食事をしたくないという意味があるのが分からないんでしょうか」とアユミさん(27歳)

アユミさんのように社交辞令で『また』を使う人は多い。女性に限らず、意中の男性から、「また連絡します」「またご飯でも」と言われ、今か今かと待ちわびて結局連絡がこなくてがっかりしたという独女たちの声もある。
期待を持たせる「また」はやめてほしいけど、拒絶を婉曲に伝えている「また」だと察することも、大人なら身につけた方がいいかもしれない。(オフィスエムツー/佐枝せつこ)

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この記事の執筆者

佐枝せつこ

佐枝せつこ

テレビ局勤務を経て小説を書き始める。著書に第24回横溝正史ミステリー大賞最終候補作「ベッド・イズ・バッド」「家内安全」「光冠」ほか。2007年より「独女通信」の執筆陣に参加。「婦人公論」に母親たちの極寒婚活模様が掲載。婚活、介護、婚外、恋愛など女性の様々な生き方をテーマに執筆活動を展開中。
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