取材で知り合ったアユミさん(27歳・建設会社)とリカコさん(28歳・商社)と飲みに行ったときのこと。

会社の愚痴や社内の恋愛事情などで盛り上がるものの、本人たちの恋バナはさっぱり出てこない。「彼はいないの?」と聞くと、ふたり揃って「恋愛にはご無沙汰なんです。彼は欲しいんですけどね」との答えが。

「その気になれば、すぐにできると思うけど」と私。
「その気になるって、私から告白するってことですか? それは嫌かも」とアユミさん。
「やっぱり男性から告白して欲しいんです」とリカコさん。

ふたりとも「“追われる恋”がいい」と言う。告白してくれる男性は「イケメンに限る」わけではなく、笑顔が素敵な男性なら歓迎なのだとか。

彼女たちに限らず「“追われる恋”がしたい」「男性から告白されたい」という人は多いし、それが「幸せ」という人も少なくない。今年3月で結婚10年目を迎えるサキエさん(38歳・自営業)は、夫のマコトさん(45歳・自営業)からの熱烈なラブコールを受けて結婚した。

「プロポーズだけで4回されました」と笑うサキエさん。「仕事が面白くなっていた頃だったので断り続けていたんですけど、母や周囲から『愛されて結婚するのはとても幸せなことよ』と言われて……。こんなにも自分のこと好きになってくれる男性は現れないかもと思い直し、4回目のプロポーズでOKしました。夫は家族を大切にする優しい人です。結婚して良かったと思っています」

一方で「“追われる”よりも“追う恋”がいい」という女性も多い。メグミさん(27歳・家電メーカー)は「自分が本気で好きになった人と付き合いたいです」と話してくれた。彼について聞くと「あの、まだ片想い中なんです(苦笑)。アプローチはしているんですけど」とのこと。

でも「今も幸せ」だという。「朝エレベーターで一緒になったとか、挨拶してくれたとか、今日は目が3回合ったとか、ちょっとしたことで幸せになれますから。好きな人がいることが幸せなんです」。“追う恋”の楽しさは小さな幸せを最大限に楽しめることなのだろう。

恋いこがれていた分、両思いになれたときの嬉しさも大きいはず。しかし「片想いのときの方が幸せだった」「両思いになれたのにすぐに別れた」といった話もよく耳にする。彼の言動に振り回されたり、付き合っているからこその切なさや不安、嫉妬などに耐えられなかったり……。恋愛は難しい。

“追われる恋”から“追う恋”へと途中で逆転してしまうこともある。取引先の男性から度々食事の誘いを受けるようなったリョウコさんは、2ヵ月目にようやく食事の誘いを受けた。

「一緒に出かけるのは楽しかったけど、私の心の中には“付き合ってあげている”という気持ちがあったんです。それが、あるとき彼の横顔のキレイさに気づいて、私が追う側になってしまいました」

リョウコさんがメールを頻繁に送るようになると、それまでマメに連絡をくれていた彼からの返信が途絶えがちになっていった。返信が無いことを責めるリョウコさんと言い訳をする彼。徐々にふたりの関係は壊れていった。

リョウコさんと彼のようなケースは実は珍しくない。男女問わず恋する自分に満足している人は、立場が逆転してしまうと相手の想いを受け止められなくなってしまう傾向があるようだ。

“追う恋”と“追われる恋”。どちらにも幸せな理由がある。ただ、本当に幸せになるためには「しっかりと向かい合う」ことが必要だ。「追う・追われる」から「向き合う」に変わったときにこそ、恋から愛に変わるということを忘れずにいたい。(オフィスエムツー/神田はるひ)



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この記事の執筆者

神田はるひ

神田はるひ

埼玉在住。メーカー勤務を経て、紆余曲折の末フリーライターに。コラムやエッセイの他、メルマガ制作やコピー制作など守備範囲は広い。趣味は料理と散歩。冷蔵庫にある物を使って作る創作料理には定評がある。占いによると「大器晩成」らしいが、まだそのときはきていないらしい。
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