東日本大震災がきっかけで「絆婚」「震災婚」という言葉が誕生したほど、震災直後は収入などにとらわれず、本当に一緒にいたい人との結婚を望む人が増えたという。あれから2年。被災地の復興にはまだ時間がかかりそうだが、結婚に関する意識はどう変わっただろうか?

東北地方在住の25~39歳の一般独身男女計649名を対象にした「結婚」に関する意識調査(株式会社オーネット)、「結婚を考えるときに重視すること」の結果は、

1位は男女とも「性格/人柄」
2位は男女とも「価値観」
3位に男性は「愛情」、女性は「収入」

「収入」については62.3%の女性が重視すると回答し、男性の9.7%に比べ大きな違いとなっている。

結婚相手に望む年収、女性は459万円。男性は163万円。

女性の方が現実的なのはこの地方に限ったことではない。
「高収入の男性には見合い希望者が殺到します」と、都内で見合いの世話人をしている高崎さんはいう。高収入に年齢差は関係ない。50代の医師と30代の女性を見合いさせたこともあるそうだ。

やはり結婚は愛より収入なのか?
「うちの会社は給料も安いし、社内結婚だけは避けるつもりでした」
なのに収入より愛を選んだという美和さん(32歳)。

「震災直後、節電で東京が暗くなったじゃないですか。放射能汚染の風評被害も流れたりしたので、会社もやめて実家に帰ろうかと思っていたんです。会社の同僚に相談したら、自分が支えになるから東京で頑張ってほしいと言われ、それから付き合いを始めました」

彼はもともと美和さんのことが気になっていたそうだが、美和さんにとっては
ただの同僚。それが一気に恋人、結婚へと2人の関係は進んだ。

「僕が全力で君を守るというどこかで聞いたような言葉にもぐっときましたね」
と美和さん。

「二人で働かないと子どもも作れないんです。疲れて帰宅して家事をやっていると、結婚相手を間違えたかなと思ったこともありますけど、何があっても自分を守ってくれる人がいるのは心強いです」

由美さん(34歳)も震災がきっかけで彼と同棲するようになり、昨年結婚をしている。
「あの当時は部屋にいると揺れていないのに揺れを感じて怖くてひとりではいられませんでした。毎晩彼か友だちと一緒にいましたね。結婚には後ろ向きだった彼も心細かったみたいで、結婚は彼の口から自然に出ました。私も考えることもなく、一緒にいたかったので即OKをしました」

震災婚とか絆婚をしたカップルは彼の収入のことなど考える余裕がなかったという。死に対する恐怖を味わい、隣近所に親しい人のいない独り暮らしの女性たちにとって、震災は結婚に向けて動き出す大きなきっかけになったようだ。

「結婚は財産や相手に地位がない時期にするのが一番いいのでは」という既婚女性の敏子さん(60歳)。

結婚当初は地方都市の小さな借家暮らしで、会社員だった夫は職を転々とし、子どもを抱えて敏子さんもパート勤めをして家計を支えたそうだ。

「貯金もできない生活に、子ども二人を抱えて将来に不安はあったけど、夫についていけば間違いないと信じていました」

今は企業家として成功した夫と都内の高級マンションで暮らしているが、苦労した時代があるから夫婦には強い絆があると誇らしげだ。

収入は確かに必要だが震災直後、私たちが何を一番求めたかを思い出してみたい。(オフィスエムツー/佐枝せつこ)

(参考・引用)号外 「東北地方の独身男女の結婚に関する意識調査」 2013 年2月22日 編集・発行 株式会社オーネット

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この記事の執筆者

佐枝せつこ

佐枝せつこ

テレビ局勤務を経て小説を書き始める。著書に第24回横溝正史ミステリー大賞最終候補作「ベッド・イズ・バッド」「家内安全」「光冠」ほか。2007年より「独女通信」の執筆陣に参加。「婦人公論」に母親たちの極寒婚活模様が掲載。婚活、介護、婚外、恋愛など女性の様々な生き方をテーマに執筆活動を展開中。
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