バーゲンセールでショートパンツを手にした祐子さん(35歳)は、レジへ向かう途中、はたと足を止めた。「このショートパンツ、どこに履いていけばいいんだろう?」。

数年前から肌の衰えを感じるようになったという祐子さん。夜遅くまで残業をしていると変な脂が出て顔はテカテカ、目もくぼんでいるように見える。

「うちの会社は服装が自由で、ショートパンツを履いてくる若い子も多い。そんな彼女たちと一緒のファッションをしたら、老け顔が際立つのではと不安になりました」。ショートパンツは、ジャケットと合わせてオフィスで履くつもりだったが、「イタイ女には見られたくない」と、そっと棚に戻したそうだ。

42歳でも絶賛露出中の藤原紀香、そして毎日5時間スキンケアをしている44歳美魔女の水谷雅子さんなど、昨今の熟女ブームで美しい40代がもてはやされている。アラサー、アラフォーなんてまだまだヤング、露出ファッションの抵抗感もなくなりがちだが、ブームとは無関係に人間の体は老いるもの……。社内に「服だけは20代の40歳女性がいて、困り果てている」のは唯さん(28歳)。

「つねにミニスカートで、胸の谷間を強調した薄着の格好をしています。ラブリーなファッションが好きなようで、服やカバンにやたらリボンがついている。スタイルはいいので、後ろから見たらセレブ風の美人OLなのですが、振り返るとアイメイクの濃いおばさん。よくナンパされると相談(自慢)されるのですが、男性たちはみんな後ろ姿にダマされているのではないかしら? 独身だから焦っているようにも見えるんですよね。目ざわりというよりは、痛々しい感じ」

――盛れば盛るほど、孤独に見える四十かな。
うっかり詠んでしまうほど、勘違い「ブ魔女」は人を困惑させるのだ。しかし、なぜ服だけが若くなる珍現象が起きてしまうのか? 前出の祐子さんは言う。

「体型が崩れていない人は若いコのファッションに走りがち。正直な話、同年代が下半身を隠すようにチュニックを着ているのを見ると、ついミニを履いてスタイルを誇示したくなることがあります。それにファッションの好みって、変化しないんですよね。私も10代・20代のときに好きだったブランドショップを覗くことがあるのですが、そこで自分を客観視できないと、うっかり購入してしまって、顔と服の年齢が合わないという悲劇が起こるのでは?」

老化は少しずつ進むもので、はっきりと自覚しにくい。そのうえ、服の趣味も変わらないとなるとバランスはどんどん崩れていく。「わかってはいるが、ミニスカートはやめたくない」という瞳さん(37歳)は、若いファッションには女としての賞味期限を延ばす幻想があると話す。

「見た目年齢を下げることは美容整形でもしない限り、難しい。それが若々しいファッションをすると、アンチエイジングできたような気分になれるんです。実際、私が年相応の地味なパンツファッションをすると、PTAの人みたいになっちゃいますからね。若すぎると思われるくらいが、ちょうどいいんです」

若い子の服を着こなせる自分自身に酔ってしまうという構図。周囲の視線を気にしなければ、それはそれで幸せなのかも……。とはいえ、本人はきゃりーぱみゅぱみゅのつもりなのに、どうみても林家パー子にしか見えないというのも辛い。年相応のエレガントファッションをするにはどうすればいいか? 元ファッション誌編集者のS女史に聞いてみた。

◆ブ魔女にならないためのおきて(1)パーソナルカラーを見つけよう
「まず自分に合う色(パーソナルカラー)を知ることですね。派手色も似合っていれば、年齢はあまり関係ありません。反対にダークカラーでも似合わない色だと、いっそう老けて見えてしまうことがあります」

◆おきて(2)上質な素材を身に着けよう
「“服が若い”というのは、安っぽい・品がないとも捉えられるので、素材や手触りなどの質感にこだわって選ぶといいですよ。大人なら、量より質を大事にしましょう」

◆おきて(3)同世代の客層の多い店に行こう
「洋服を買うときは、そのお店の客層をチェック。ギャルばかりのお店だから失敗しちゃうんですよ。自分と世代や雰囲気が近い店のほうが、本当に似合う服が見つかります」

真の「美魔女」になるには美しい容姿や美肌など天性の資質が必要だが、品よく慎ましい大人の女性には、努力次第で誰でもなれる。身のほどを知り、進むべき道を推し量るべし。(来布十和)

・関連リンク
美しすぎる40代“美魔女”の正体とは


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この記事の執筆者

来布十和

来布十和

出版社、編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーランスライターに。中学生向けから主婦系まで女性誌を中心に幅広く執筆活動を行っている。得意分野は美容、料理、30代女性の恋愛&結婚ネタ。