なぜ別れない? 映画『捨てがたき人々』『私の男』に見る“ダメ男”の魅力ダメ男なんだけど、妙な色気がある。ダメ男なんだけど、憎めない。大人な独女の皆さんならそんな人に出会った、あるいは好きになってしまった経験があるのでは無いだろうか。

そんな「妙にモテるダメ男」を描いた映画が『捨てがたき人々』(公開中)、『私の男』(6月14日公開)と立て続けに作られている。

『捨てがたき人々』は『銭ゲバ』や『アシュラ』など人間のモラルを覆す問題作を次々に発表してきた、ジョージ秋山による原作の実写化。大森南朋演じる、金も仕事も無くセックスのことばかり考えている勇介が、長崎の五島列島で出会った顔にあざのある女、京子との暮らしを経て愛や幸せを見つけ出そうともがくストーリーだ。


京子は顔に大きなあざがある事がコンプレックスである以外は、美人で気だても良い明るい女性。2人の出会いは、勇介が京子に乱暴しようとした所からはじまると言うから驚きだ。そんなひどい目にあったのに、「ご飯食べてるの?」とか「お金無いんでしょ?」と世話を焼く京子。次第に二人の同棲生活がはじまり、子供ができ、なし崩し的に結婚をする。

もちろん最初は嫌がっていた勇介だが、勇介の取り柄といったら諦めの良さ(悪く言えば、すぐ諦める)。結婚したと言っても女癖は直らず浮気はし放題であるが、なんだかんだ言って生活を続けていくのだ。

もう一つの『私の男』は、桜庭一樹による第138回直木賞受賞作を映画化した問題作。孤児になった少女と、少女を引きとった遠縁の男が、秘密を抱えて寄り添いながら生きて行くミステリー作品だ。浅野忠信演じる淳悟はだらしない生活で金も持っていないが、その顔立ちと妙な色気から女が絶えない。そして飽きっぽい性格で、女が夢中になると去っていく。ふだんはボーっとしてるのに気性が荒く、キレると何をするか分からない恐ろしさもあり……。

勇介も淳悟も映画を観ている側からすると「あんな男なのになぜ!?」「絶対に幸せになれないのに!」とギャーギャー言いたくなるのだが、実際にこの2人の男に出会ったら、その謎の魅力に抗える自信が無い。なぜ、こんなダメ・クズ男がこんなに魅力的なのか、考えてみたのだが、「自分を諦めている分、他人にも期待していない」無気力さを優しく感じるからでは無いだろうか。

例えば仕事で悩みを抱えている時に、エリートの男性に「こうしなよ、ああしなよ」とアドバイスされるより、ダメ男に「十分頑張ってるよ、えらいよ」と言われる方がちょっと気が楽になる様な。浮気し放題だからこそ、女の話を聞くのが上手で、妙な安心感があったりだとか。

周囲の独女たちにダメ男に関する話を聞いた所、「パチンコ狂いだけど、私の好きなお菓子のおみやげは忘れない」だとか「愚痴をたくさん聞いてくれて、絶対否定しない(そして他の女にもそう)」だとか、ダメなヤツだと思っていてもなぜか憎めないエピソードが。もちろん、この優しさや心地良さは一時のもので、長く付き合えば付き合うほど、女が後悔するのは明白だろう。

かといって、「ダメ男と分かっていてもどうしてもその人が好き」という場合は、無理して別れる必要は無いと思う(もちろん殴られたり、借金を負わされたりしたらダメだけど)。結局のところ、男と女の事は当人同士にしか分からない。客観的に見たら不幸なのに、なぜかうらやましくも思える。そんな女の生き方を、ぜひこの2つの映画で味わって欲しい。(石黒マミ)
(C)2013「私の男」製作委員会

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石黒マミ

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まぎれもないアラサー、まぎれもない独女。日々独身スキルのレベルあげ中!アニメとか映画とか漫画が好きなインドア派。