女子アナ内定取り消し騒動の笹崎さんを嫌いになれない不思議独断と偏見だが、同性から嫌われる職業NO.1といえば「女子アナウンサー」である。正確にいえば「嫌われる」のではなく「嫉妬される」。なかでも天敵扱いされるのは、媚び力の高いぶりっ子キャラの女子アナだろう。昨年秋に発表された「週刊文春」の嫌いな女子アナランキングでは、カトパンこと加藤綾子アナが断トツの1位で、以下、田中みな実アナ、高橋真麻アナと続いた。わかるー! 女性読者限定のアンケートではないものの、カトパン、みな実への「計算高い」「派手」「媚びている」という女性読者からの指摘は、まるで自分が回答したかのような錯覚を覚えてしまう(真麻にはこうした指摘は皆無)。

女子アナが妬まれる理由はごく明快。持って生まれた容姿だけを武器に、甘い汁を独り占めしているように見えるからだ。そもそもテレビ局の内定倍率はざっと1000倍であり、相当難関。一般庶民は入社するどころか、テレビ局勤務の男性と交際することすら難しい。顔面レベルが高い(でも女優級ではない)、その一点で女子アナは芸能人にチヤホヤされたり、運がよければ大リーガーと玉の輿婚しちゃったりと、人生得しすぎだろうとハラオチしない存在なのである。

他方、顔面偏差値低めの高橋真麻が嫌われる理由はもっとわかりやすく、たいしてかわいくないのに美人特権枠の女子アナに食い込んだから。はるか昔から「人間は外見より中身が重要」といわれつつも、とかくこの世は不細工に容赦ない。本人がいくら努力していようとも相対的に不細工と判断されると、何をしても「ブスのくせに」で終わってしまう。結果、表舞台に立つためにはブスキャラを演じるしか術がなくなる。

そして考えたいのが「日テレの女子アナ内定騒動」で裁判沙汰となった笹崎里菜さんの存在である。これが不思議と、嫌悪感が沸かない。


ここでざっくり騒動の経緯を説明すると、笹崎さんは日テレ女子アナに内定したにも関わらず、かつて銀座のクラブでホステスのバイトしていたことを告げたところ、内定を取り消されてしまう。これに納得できない笹崎さんは日テレを提訴。性差別だ、職業差別だと日テレ側が炎上したところで一転、4月からの入社が決まった。

ミスキャン、JJモデル、ホステスと、笹崎さんは女に嫌われそうなスペックだらけだが、内定を勝ち取るまでの彼女の苦労と握力が、我々の嫉妬心を和らげたのである。好感度的にも、むしろバレておいてよかったのかもしれない。

元日テレの局アナで、フリーになってから快進撃を続ける夏目三久アナも、スキャンダルを乗り越えた苦労の人。データはないけれど、日テレのアイドルアナ時代に比べて現在の方が女性からの支持率はかなり高いはずだ。カトパンやみな実にも「本当は実家が貧しくて、子どものころは一杯のかけそばを母と弟と分けて食べていました」のような知られざる悲話があれば、評価は180度変わってくるだろう。

女たちの女子アナ嫌いの裏側には、世間にはびこる若さ・容姿至上主義への反発心が潜んでいる。男性アナウンサーが60代、70代のおじいちゃんになってもMCをしているのに対し、女子アナが求められるのはたいていアイドルタレント枠。女性の局アナはベテランになったらほとんど番組には出演せず、人材育成側にまわされたりするらしいのだがそれってどうよ? テレビはオジサンたちのもんじゃない。つい女子アナにYAZAWAのような成り上がりストーリーを求めてしまうのは、彼女たちの本気(マジ)を見たいからかもしれない。でも、笹崎さんがさんまあたりにいじられて、キャッキャしていたら嫌だなぁ。(来布十和)

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来布十和

来布十和

出版社、漫画雑誌編集部バイト、編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーランスライターに。アイドル誌、育児誌、主婦雑誌から不動産パンフレット、パワースポット紹介まで手当たり次第の執筆活動を行っている。食べていくため仕事は選ばない主義。