『コウノドリ』で妊娠・出産のあらゆるリスクを予習せよ産婦人科医療の現場を描いた連続ドラマ『コウノドリ』(TBS系)が好調だ。

綾野剛演じる心優しき産婦人科医、その名も鴻鳥(こうのとり)先生をはじめ、助産師、救命救急士など産科医療の現場に携わるスタッフが妊娠・出産にまつわるさまざまなリスクやアクシデントに立ち向かう――。

原作は男性向けマンガ誌『モーニング』で連載中の同名マンガ。設定だけを聞くと出産経験を持つ女性がターゲットにも思えるが、これが意外にもそうではない女性からも大反響なのだとか。『コウノドリ』のどんなところが心に刺さるのだろう? 


■ 妊娠・出産のあらゆるリスクが今から予習できる

妊娠してもタバコをやめなかった場合赤ちゃんにどんな悪影響があるか、いつ誰に起きるか予測不能な早産がもたらす事態、安定期の旅行=「マタ旅」がはらむリスク(海外旅行先で出産→保険適用外で医療費請求が1億円超になったケースも!)、妊娠中に母親が風疹に感染すると子供が白内障や心臓疾患などを患ってしまう場合があること、出産で母親が命を落とすケース…。

妊娠したすべての女性が安産で赤ちゃんを産めるわけではない。お腹の中にいるあいだに母子ともにトラブルに見舞われることもあれば、赤ちゃんの体の機能ができてないうちに母体の外に出なければならないことも。仮に無事に生まれても、親側の事情で乳児院に預けられる赤ちゃんだっている。

そんな妊娠・出産の過程で起こりうるあらゆるリスクを『コウノドリ』はときにコミカル&ライトに、ときに徹底的にシリアスに、ドラマというわかりやすい形で教えてくれるのだ。毎回ビジュアルやテロップを使っての補足説明も充実しているので、妊娠経験がない人でもわかる親切設計! いや、独身女性こそ今から予習のために『コウノドリ』を見ておいて絶対に損はない。登場する妊婦たちのなかに、近い将来のあなたがいるのかもしれないのだから。


■ 女の幸せ=「母になること」という価値観を押し付けてこない

もうひとつ、『コウノドリ』がドラマとして支持されているのは、産婦人科医療の「今」をリアルに切り取りながらも、脚本や演出がきわめてデリケートなところ。「お前いつまで独身でいるんだ? 女は結婚して子どもを産んでこそ幸せになれるんだぞ~」と無神経に言い放つ昭和のオッサンのような押し付けがましさはこのドラマには一切見当たらない。鴻鳥先生をはじめとした医療チームは、さまざまな事情を抱える妊産婦や夫婦に自分たちの価値観を押し付けたり、幸や不幸をジャッジしたりはしない。彼らの仕事は妊娠・出産という一大事に向き合う夫婦とお腹の中の子を全力でフォローする、ただそれだけなのだ。そのプロとしての覚悟・姿勢にも、働く社会人はグッときてしまうはず。

「結婚」「妊娠」「出産」というカードが揃えば、必ずしも幸せが約束されるわけじゃない。むしろカードがひとたび裏返れば、今まで味わったことのない絶望的な状況を招くことだってあるのだ。

旧来の価値観を押し付けられることなく、でも近い将来我が身に降りかかってくるかもしれないリスクはしっかり学べる。それが『コウノドリ』が支持されている理由といえるだろう。見終えたときは今までさして興味がなかった友達の子にも、ちょっと優しくなれるかも(笑)。(小鳥居ゆき)


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小鳥居ゆき

小鳥居ゆき

女性誌・カルチャー誌を中心に活動するフリーランスの編集&ライター。少女マンガ、女性向けエッセイ、女性向けファッション誌リサーチ、サブカル畑などが大好物。