結婚はしたくないけれど、子どもが欲しい。「未婚の母」という選択肢「結婚はしたくないけれど、子どもは欲しい」

このコラムを読んでくださっている独女の中には、そんな気持ちをひそかに抱いている方もいらっしゃるのではないか? だが実際日本における「シングルマザー」ないし「未婚の母」での子育ては非常に難しい。そのため、なかなか踏み出せないという人も多いかもしれない。


■ 母子家庭の貧困率は54.6%、生活受給率は14.4%

シングルマザーにおける一番の課題は、やはり経済的不安だろう。

厚生労働省による調査「ひとり親家庭等の現状について」によると、日本の一般家庭の平均給与所得は男性で507万円。しかし母子家庭の場合、平均所得は181万円だという。結果、母子家庭の14.4%は生活保護を受給しており、貧困率54.6%にも及んでいるのが現状だ。自ら選択して未婚の母となる場合はそこをクリアできる経済力があるか、貧困を覚悟する精神力が不可欠だ。だがいくら母親に覚悟があっても、生まれてくる子供が果たしてそれで幸せになれるのかを考える必要はあるだろう。

ちなみに経済的不安がないと思われる有名人には、未婚の母として子どもを産んでいる人は結構存在する。例えば有名どころでは安藤美姫さん。意外なところではモデルの道端カレンさん、歌人の俵万智さんも結婚をせずに出産をしている。ほか離婚でシングルマザーとなった芸能人は、数えきれないほどだ。


■ 父親となる男性に認知してもらえば、養育費支払いの義務が生じる

また未婚の母の場合、本来父親となる男性に「認知してもらうかどうか」の選択をしなくてはいけない。認知してもらうことのメリットは、何といっても養育費を支払う義務が生じること。また父親となる男性が他界した際は、財産を相続できる権利も得ることができる。

一方デメリットは、父親となる男性が老いて生活力がなくなった場合など、将来父親を助ける義務が生じるケースもあるということだ。とはいえ経済的不安を解消するためにも「養育費がもらえる」というのは、活用しない手はないだろう。

ただ厚生労働省の「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」によると、母子家庭において父親の男性と養育費の取り決めをしている人はわずか37.7%。うち、きちんと養育費を定期的にもらっている人は19.7%と、さらに少ないのが現状だ。これにはさまざまな要因があるが、大きな理由は離婚となると女性側は「もう関わりたくない」と考え、養育費を含む接点を持たないことを選択することが多いのだという。

■ 昔よりひとり親への偏見は減っているようだが……

また経済的不安以外に気になるのが、世間や子供同士の差別。

前述の厚生労働省「ひとり親家庭等の現状について」によると、児童のいる世帯のうち母子家庭は6.8%と、やはり少数派であることには変わりない。だが子どもがいる既婚女性たちに話を聞くと、たいてい「子どものクラスに何人かは、母子家庭の子がいる」と語る。

「同じ学年の子で、結婚や離婚で苗字が変わった子は3人いましたよ」と語るのは、現在保育園に通う子供の母親であるヨウコさん(35歳)。

「うち2人は未婚で子どもを産んだ後、別の人と結婚して苗字が変わったパターンで、1人は結婚して離婚したパターン。子どもは『●●ちゃん、苗字変わったんだって』みたいな感じで、違和感なく接しています。母親間でも別に偏見はないですね。だって他のママさんの中でも『実は私、バツイチで……』みたいな人ってゴロゴロいますから」

一方保育園の子どもよりもう少し大人の事情を理解している小学生の子どもを持つフミエさん(40歳)も、「最近の子どもはまったく偏見がないみたいです」と語る。

「私が住んでいるのは東京の下町というお土地柄か、シングルマザーは珍しくないです。あとハーフの子や外国人の子もけっこういるし、私たちが子どもの頃と違って本当にいろいろな事情の子が同じクラスにいる。それが自然ですね」

家庭環境も国籍も人種も違う子どもたちが当たり前のように机を並べ、学ぶのが今の子どもたち。アラサー、アラフォー世代が子どもの頃とはいい意味でも感覚が違うようだ。シングルマザーはその点安心できる要素だろう。

ただ子どものいじめは何をキッカケに発生するか分からない。それがたまたま「父親がいない」ということが原因ということも、当然ゼロではないだろう。また就職や受験などで片親だから差別されることは一応「ない」というのが前提だと言われている。だが結局のところ、落ちてしまったときについ「片親だから落とされたのかも?」と考えてしまうことはあるだろうし、実際本当にないのかは誰も証明できないのも事実だ。

日本における未婚の母の現実やデメリットを調べると、やはりなかなか厳しい道のりだと言わざるを得ない。ただ「いくら苦労しても子供が欲しい」と思えば、その気持ちは誰にも止められないかもしれない。

日本がいつか、未婚の母でも暮らしやすい世の中になることを願ってやまない(橋口まどか)。

<関連リンク>
独女の私が思い描く「子育て」の理想・妄想