独女にもできる「誰かのために頑張る」こと晩婚化や未婚化が進む日本。さらには「少子高齢化」という社会問題もあり、少子化の解消に貢献できていない適齢期を過ぎた独身女性は、正直肩身が狭い。

独女のサオリさん(40)は最近、その肩身の狭さに追い打ちをかえるような出来事が起こったという。

「先日『結婚願望がない』とずっと言っていた友達が結婚したんです。で、その理由を聞いたらこんなことを言っていました。『独身時代を散々おう歌したけど、ふとそういう生活はもういいや、って思ったの。それよりも家族をつくり、家族を幸せにするために頑張る人生を歩みたくなった』。これを聞いた時は、ちょっとショックでしたね」

サオリさんは大手証券会社で働いており、役職もついているキャリアウーマン。仕事が大好きで、「独身で仕事を頑張るのが自分らしい生き方」と信じていた。

「仕事はやりがいがあるし、社会の役に立っているという自負もあります。でも頑張っているのは社会のためより結局全部自分のため。誰かを幸せにしたいと思ったり、誰かのために頑張るとか、考えたこともなかったんです。なんだか自分がすごく独りよがりで子どもっぽいと思いました。私は一体何のために頑張っているのだろう? と」(サオリさん)


■ 育児中の女性社員をフォローすることも、立派な「人のため」

結婚にネガティブなイメージを持つ人が増えているが、大きな理由として言われるのが「自由がない」こと。男性は自分で稼いだお金が自由に使えず、いくら仕事ができても家事や育児を手伝わないと批判される世の中だ。女性は出産すると子供の生活が最優先され、仕事も自由な時間も大幅に制限される。だったら気楽に一人でいい。そう考えるのは間違ってはいない。

でもそれは確かに「これって結局全部自分のためだね」と言われたら、ぐうの音も出ないのも事実。独女でいることは、本当に誰かのために頑張ることを放棄することになるのだろうか?

しかし「そんなことはないです!」と強く否定するのは、既婚女性で現在子育て中のハルナさん(36)だ。

「私は子供を保育園に預けて仕事をしていますが、それは多くの人たちの助けを借りて可能なこと。まずは保育士さんをはじめとする保育園の方々。また保育園はその自治体の税金により賄われています。そして仕事でも、多くの人に助けられている。例えば私は独身の人に比べると、子供の風邪や行事などで頻繁に休んだり早退しています。その時にフォローしてくれる人がいるからできることなんです」

確かに家庭を持たない独女は、働く子育て中のママたちをフォローする役回りになりがちだ。特に今の季節はインフルエンザも流行しており、「子供が熱を出した」「子供が学級閉鎖になった」といったことで、育児中の女性社員は頻繁に休むことも珍しくないだろう。

そんな時は正直、「なぜ自分ばかり……」と理不尽に思うこともあるかもしれない。だがそれを担うことも「誰かのために頑張る」ことに変わりはない。そう思えばモチベーションが上がる。


■ 独女が誰かのために頑張れること、できることとは何か?

「独身の友人の中には『働いて高い税金支払っているし、消費して経済も回している。だから独身なことは全く後ろめたくない』と言う子もいます。確かにそれはそうだけど、それだけでいいのかな? という気はしますね」

こう語るのは独女のアオイさん(35歳)。アオイさんは数年前に妹に子供が生まれ「自分の子のようにカワイイ」とメロメロ状態。だからこそ、独身である自分たちがやるべきことを考えるという。

「妹は『妊娠している時にマタニティマークをつけて電車に乗っても、座っている人はみんなスマホに夢中で見向きもされなかった』と言っていました。私もつい電車に乗るとスマホをいじってしまうクセがあるけど、必ず電車で座ったら周囲を観察するようになりましたね。そうするとマタニティマークの人はもちろん、お年寄りや子供を抱っこしているお母さんなど、席を譲るべき人がたくさんいることに気づけたんです」

一方既婚者だが子供はいないAさん(男性・40歳)は、階段を上り下りしようとしているベビーカーを見かけたら、なるべく「手伝いましょうか」と声をかける。

「とはいえ半分くらいは『大丈夫です』と言われますけどね。それでもめげずに声をかける。やはり子育て中の女性を応援したいという気持ちがあるし、これが自分にもできるささやかな育児参加だと思っています」

子育てに追われる当事者の苦労と比べると、こういった独身者による育児参加はとてつもなく小さいものだろう。ただ1人1人は小さくても、たくさんの人がこういった配慮をすることができたら、日本はもっと「子供を産み育てやすい国」になるのではないか? 

最近は電車の中や初詣などの混雑時におけるベビーカー是非を問う「ベビーカー論争」も話題となっている。また妊娠時に自治体から手渡される「マタニティマーク」に対しても、「つけていることで嫌な目にあった」という話もたびたび耳にする。こういった話を耳にすると、日本の社会全体が「社会みんなで子供を育てる」「誰かのために配慮する」という意識が薄れているのではないか? そんな懸念を抱いてしまう。

だがそんな世の中も、独女のみんながささやかだが誰かのために動くことによって、変わるかもしれない。それがやがて少子化解消につながるかもしれない。独女だって誰かのために頑張り、生きることはできる。まずその一歩として、周囲で困っている人に、手を差し伸べることから始めてみよう。(橋口まどか)。

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